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STS Network Japan 第2回定例研究会

 昨年の12月にSTSNJのあたらしい活動機軸として開始した定例研究会ですが、第2回は、東京大学大学院・学際情報学府で修士論文を書き終えたばかりの高重治香さんに報告していただきます。今回の報告では、科学雑誌の代表的存在であった『科学朝日』をとりあげ、その歴史的な変遷を踏まえるなかで、メディアにおける科学イメージに焦点があてられることになるかと思います。なお当日は、1985年から87年まで『科学朝日』の副編集長も務められた泊次郎氏(元朝日新聞科学部編集委員)にコメンテーター役をお引き受けいただいております。
 近年、科学政策の枠組みのなかで科学コミュニケーションの重要性が強調される一方で、科学ジャーナリストの側の独自の取り組みとして各種の科学技術ジャーナリスト養成講座が設立されるなど、科学メディア、科学ジャーナリズムををめぐってさまざまな動きが巻き起こっています。科学メディアをめぐるそのような動向について考える上でも、今回の報告は貴重な視点を提供してくれると思います。
 みなさまのご参加をお待ちしております。

報告者:高重治香(東京大学大学院学際情報学府・M2)

報告タイトル:科学雑誌における「科学」イメージの生成と変容
―『科学朝日』の編集者・登場人物(書き手・話し手)・読者の構成する「科学」をめぐって―

日時:2004年2月26日(木)18時30分〜
会場:東京大学先端科学技術研究センター 13号館2階209号室
(最寄り駅:小田急線・東北沢駅より徒歩7分、井の頭線・駒場東大前駅より徒歩10分。詳しくは以下をご覧下さい。)
http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/map/map-j.html

【報告要旨】
修士論文「科学雑誌における「科学」イメージの生成と変容」では、メディア論・コミュニケーション論の視座から、人びとのコミュニケーションの中に生成する重層的なものとして、「科学」イメージをとらえようとしました。『科学朝日』(※)という言説空間を分析対象としてテキスト分析を行い、編集者・登場人物(書き手・話し手)・読者―『科学朝日』共同体―が「科学」をまなざし、表象するなかに「科学」イメージが生成、変容するさまをうかびあがらせる試みです。ここで問題にしているのは「科学」イメージの内容ではなく、共同体が抱く「科学」イメージの存続と変容の形態・メカニズムです。分析の結果、『科学朝日』共同体における「科学」と「非科学」をめぐる境界設定や、「科学」イメージの固定(戦時下・終戦直後)、一元化(60年代)から拡散(70年代以降)に至るメカニズムがみえてきました。また、「専門家」のものであれ「非専門家」のものであれ知識や意見を「伝達」するものとしての「科学メディア・ジャーナリズム」観にはおさまらない科学雑誌の姿もみえてきました。
※『科学朝日』は、戦時下の1941年に創刊し、1996年まで発行。休刊後、『SCIaS』(サイアス)として2000年まで発行されました。読者、登場人物には「科学者」も「非科学者」も含まれています。


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