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STS Network Japan2006 冬のシンポジウム

「科学的知識の伝達・理解・発見」

何ができたら、どうしたら、「理解した」となるのか?

日程:2006年12月3日(日)
時間:13:00-18:00
場所:東京大学駒場キャンパスT・数理科学研究科棟・大講義室

(京王井の頭線・駒場東大前駅より徒歩1分)
http://www.c.u-tokyo.ac.jp/jpn/kyoyo/map/campusmap_ma.html
※ 参加費無料、事前登録は必要ありません。
※ 参加資格はありません。どなたでもご参加いただけます。

プログラム

13:00-13:15開会挨拶
13:15-14:15基調講演(発表50分、質疑10分)
中島秀人(東京工業大学)「創造性の移動とハンガリー現象」
14:30-16:30提題発表(各、発表20分、質疑10分)
本間栄男(UTCP)「科学知識のコミュニケイションと理解する読書方略」
夏目賢一(金沢工業大学)「19世紀イギリスにおける、理解の「科学化」とアナロジー」
串田純一(UTCP)「生物学的理解の基本形式―ユクスキュルとモノーに見る―」
柴田崇(UTCP)「サイボーグの理解――K. Warwick, I, Cyborg読解」
16:45-18:00総合討論
コメント
中島秀人
福島真人(東京大学総合文化研究科)
林衛(富山大学人間発達科学部)
総合司会: 鈴木俊洋(UTCP)

STS Network Japan
東京大学共生のための国際哲学交流センター(UTCP)
共催


趣旨

私たちは、どのようにして科学技術の知識を理解しているのでしょうか。あるいは、理解していると客観的に考えられているのでしょうか。

例えば、理解を測るためにペーパーテストが用いられます。しかし、ペーパーテストで測定評価できるのは、言語化された知識のみであり、これら言語によって測定しているだけでは、記号化された概念の論理的関係を理解しているだけであり、実体をともなう現実の世界を理解できているとは言えないという主張もあります。また、ペーパーテストでは教科書の知識を暗記して型通りの知識として再現しただけで、実践的な能力は別であり真の理解ではないという批判もあります。

それに対して技術は、伝統的に私的な感覚を重視した非言語的な方法・身体的な再現あるいは比喩によって伝承されています。そのため昨今では、教科書やマニュアル、コンピューターでデータ化されうるような方法で知識を保存することには無理があり、技能的な知識が失われているという危惧も広がっています。しかし、知識の理解が、そうした私的な感覚に本質的に依存するのであれば、明確な基準で理解度を測ること、あるいは理解を一般的に論じることは難しいと考えられます。こういった傾向は、技術だけではなく、論理的関係そのものである数学の理解においても同様のことが言えます。

そうすると、科学技術の知識の「理解」を理解することができるのでしょうか。例えば、理解の基準として、その知識の対象となる技術生産物を製作できるかどうかという基準があります。ただ、これは社会的に必要とされる技能の評価としては十分であるとはいえ、その人がその技術を真に理解しているかどうかを測定する基準とは言えるのでしょうか。あるいは、知識の伝達や理解・発見は、歴史的に構成されるものであるとも考えられます。そうすると、なぜ私たちは現在、さまざまな知識を理解し、伝達できていると考えられるのでしょうか?

以上のような問題は、さまざまな社会的背景を持つ人たちで科学的な知識を共有しようとする科学コミュニケーションや教育、研究、政策の場において、理解や発見を生み出していくための根源的な問いとなるはずです。こうした問題は、根本的な疑問を抱えながらも敬遠されがちな問題だと思います。しかし、近年とくに、こうしたテーマを真剣に考える必要性が高まっているのではないでしょうか。このシンポジウムでは、以上のような問題意識のもと、科学的知識の伝達・理解・発見について、さまざまな方に着眼点を提供いただき、議論を進めることで、より深い考察が得られることを目指しております。




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