「科学技術と社会」に関連する教育研究は、問題領域が多様であるだけでなく、それに携わる大学等教員が各大学に分散しているため、領域としての教育研究経験の蓄積、交流が十分でない。そこで、わが国における「科学と社会」に関する教育、研究の実態を明らかにすることを目的としてアンケート調査を実施し、その実態の把握につとめるとともに、1998年に実施した同様の調査との比較を行い、この間の変化についても検討を行った。
(1)調査対象者
大学等において科学技術と社会に関わる教育を担当する者、研究する者、科学技術と社会に関連する調査活動や普及活動等に参加する者を調査対象者とした。調査対象者は、研究者ディレクトリ(国立情報学研究所)、WWW、その他によって、この領域の問題に関心があると思われる者、講義を担当する者など、約1300名(1998年調査では約1000名)を抽出した。
なお、研究者ディレクトリを用いて該当者を抽出する段階で、1998年調査に比べて、科学技術と社会のコア部分(科学技術史など)を専門とする者が相対的に減少し、それ以外の多様な分野の研究者が副次的に関連を持つような形に拡散していることがわかった。
そのため、調査を実施しても回答率が低下することが予想されたため、調査対象を前回よりも2割強増やすこととした。また、前回は原則として65歳以上の者を調査対象から省いたが、今回の調査では年齢による制限を行わなかった。
(2)質問項目
以下の項目(大項目)について質問した。
(3)実施概要
調査は、以下のとおり実施した。
(1)回答者の属性
@年齢
30代以下が約13%、60代以上が約20%となっている。今回は調査対象者の年齢に上限を設けなかったので単純に比較はできないが、40代前半までの回答が実数でも減少しており、1998年調査に比べてより高齢にシフトしていることがわかる。
A所属機関
国立大学が110人、私立大学が167人となっている。これは講義の開設の機会が大学数などと関連があるので当然の結果である。しかし、後述するように、この分布と科学技術と社会に関連する講義の開設状況とのあいだにはずれがあり、興味深い。
年齢 | 2000年 | 1998年 | ||
---|---|---|---|---|
-29 | 5 | 1.5 | 9 | 3.2 |
30-34 | 12 | 3.7 | 39 | 13.8 |
35-39 | 30 | 9.2 | 36 | 12.8 |
40-44 | 42 | 12.9 | 54 | 19.1 |
45-49 | 56 | 12.2 | 40 | 14.2 |
50-54 | 60 | 18.4 | 43 | 15.2 |
55-59 | 56 | 17.2 | 54 | 19.1 |
60- | 64 | 19.6 | 7 | 2.5 |
不明 | 1 | 0.3 | - | - |
総計 | 326 | - | 282 | - |
所属 | 計 |
---|---|
国立大学 | 110 |
共同利用研 | 2 |
国立短大 | 1 |
国立高専 | 6 |
公立大学 | 24 |
公立短大 | 1 |
公立高専 | 1 |
私立大学 | 167 |
私立短大 | 14 |
総計 | 326 |
B専門分野
科学技術史が53人(約16%)で主要なカテゴリーとなっている。1998年調査でも科学技術史が最頻(15%)であったが、その傾向は変わっていない。
哲学は2ポイント増加した。哲学は52人(約16%)で、科学技術史に匹敵するカテゴリーになっている。哲学の研究者が「科学技術と社会」を扱う一般教育科目を担当している例が多いようである。なお、哲学には倫理学も含まれるが、とくに倫理学の専門家が多いわけではない。
科学技術史、哲学に続くカテゴリーは経済学、工学である。社会学、歴史学を含む「その他の文学」がこれらに次ぐカテゴリーとなっている。「その他の文学」の比率は前回よりも増えている。一方、法学は人数、比率ともにかなり減少している。
年齢別では、科学技術史が相対的に若い層に多くなっているのに対して、医学を含む自
然科学系分野では相対的に高齢に偏っている。これらの傾向は前回調査とほぼ同じ傾向である。工学では50歳以上の割合がかなり大きくなっている。
年齢 | 科学技術史 | 哲学 | その地文学 | 法学 | 経済学 | 理学 | 工学 | 農学 | 医学保健 | その他 | 総計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
-29 | - | 1 | - | 2 | - | - | - | - | 1 | 1 | 5 |
30-34 | 1 | 1 | 4 | 1 | 3 | - | - | - | 1 | 1 | 12 |
35-39 | 6 | 5 | 5 | 2 | 3 | - | 2 | - | 3 | 4 | 30 |
40-44 | 14 | 8 | 5 | 2 | 3 | - | 2 | - | 3 | 5 | 42 |
45-49 | 6 | 10 | 7 | - | 6 | 5 | 6 | 1 | 3 | 12 | 56 |
50-54 | 9 | 13 | 6 | 2 | 5 | 1 | 10 | 1 | 5 | 8 | 60 |
55-69 | 9 | 7 | 5 | 1 | 8 | 4 | 9 | 2 | 2 | 9 | 56 |
60- | 8 | 7 | 4 | 2 | 15 | 2 | 13 | 1 | 1 | 11 | 64 |
総計 | 53 | 52 | 36 | 12 | 43 | 12 | 42 | 5 | 19 | 51 | 325 |
年齢 | 科学技術史 | 哲学 | その地文学 | 法学 | 経済学 | 理学 | 工学 | 農学 | 医学保健 | その他 | N.A. | 総計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
30-34 | 2 | 1 | 1 | 2 | 1 | - | 1 | - | 1 | - | - | 9 |
35-39 | 8 | 6 | 3 | 5 | 5 | - | 1 | - | 3 | 7 | 1 | 39 |
40-44 | 5 | 4 | 8 | 2 | 4 | 1 | 6 | - | 1 | 5 | - | 36 |
45-49 | 7 | 9 | 6 | 5 | 8 | 1 | 5 | 2 | 5 | 6 | - | 54 |
50-54 | 7 | 7 | 1 | 3 | 5 | 2 | 2 | 1 | 2 | 9 | 1 | 40 |
55-69 | 6 | 8 | 3 | 3 | 4 | 1 | 7 | 2 | 1 | 7 | 1 | 43 |
60- | 7 | 3 | 3 | 3 | 5 | 4 | 14 | 1 | 3 | 9 | 2 | 54 |
NA | 1 | 1 | - | - | 1 | - | - | - | - | - | 4 | 7 |
総計 | 43 | 39 | 25 | 23 | 33 | 9 | 36 | 6 | 16 | 43 | 9 | 282 |
C「科学技術と社会」に関する講義の担当状況
今回の回答者のうち「科学技術と社会」に関する講義を担当している者は221人、67.8%である。回答してもらった講義の件数はのべ417件である。これらは前回調査(76.6%、424講義)に比べて相対的に少ない。
- | 2000年 | 1998年 |
---|---|---|
講義担当者 | 221 | 216 |
比率 | 67.8 | 76.6 |
のべ講義数 | 417 | 424 |
(2)研究テーマとしての「科学技術と社会」
Q12では、「科学技術と社会」に関する研究・その他の活動が、回答者の主たる研究テーマか、それとも研究テーマとは直接関係がないかを質問した。
@主要な傾向
前回調査と比較すると、研究者ディレクトリでサンプリングした段階でも主要テーマとして「科学技術と社会」を上げる者が少なくなっていたことから予想されたとおり、主要テーマだと回答した者は25%と、前回より5ポイント低下している。それに対して関連テーマだとする者、主要テーマと関連はないが関心がある者が増加している。前回と比較して、「科学技術と社会」の研究その他の活動を支える中核部分はやや小さくなりつつも、裾野は広がる方向に変化したと考えられる。
「科学技術と社会」に関する講義の担当状況との関連では、「科学技術と社会」が主要研究テーマである者が「科学技術と社会」に関連する講義を担当しているケースは、講義担当者全体の3分の1弱、「科学技術と社会」が関連研究テーマで講義を担当しているケースがほぼ半数を占めている。
- | 2000年 | 1998年 | ||
---|---|---|---|---|
主要テーマ | 82 | 25.2 | 86 | 30.5 |
関連テーマ | 156 | 47.9 | 125 | 44.3 |
関心あり | 66 | 20.2 | 50 | 17.7 |
関心なし | 5 | 1.5 | 1 | 0.4 |
その他 | 2 | 0.6 | 8 | 2.8 |
NA | 15 | 4.6 | 12 | 4.3 |
総計 | 326 | - | 282 | - |
- | 講義担当 | 担当せず |
---|---|---|
主要テーマ | 70 | 11 |
関連テーマ | 110 | 36 |
関心あり | 33 | 30 |
関心なし | - | 5 |
その他 | - | 1 |
総計 | 221 | 105 |
A属性別傾向
年齢別では、「科学技術と社会」を主要テーマであるとする者は、若年から高齢まで、比較的広く分散している。それに比べると、関連テーマであるとする者は、40代以上に多く、「科学技術と社会」を主要テーマであるとする者は相対的には若い方に偏っているといえる。
所属別では、国立大で「科学技術と社会」を主要テーマであるとする者が相対的に多い。それに対して、私立大学では関連テーマであるとする者が多くなっている。また、現在の専門分野別では、工学、科学技術史で主要研究テーマとする者が多い。
年齢 | 主要テーマ | 関連テーマ | 関心あり | 関心なし | その他 | NA |
---|---|---|---|---|---|---|
-29 | 2 | 3 | - | - | - | - |
30-34 | 5 | 4 | 3 | - | - | |
35-39 | 11 | 11 | 6 | - | - | 2 |
40-44 | 9 | 25 | 5 | - | 1 | 2 |
45-49 | 12 | 27 | 15 | - | - | 2 |
50-54 | 12 | 31 | 11 | 1 | 1 | 4 |
55-59 | 9 | 28 | 16 | 2 | - | 1 |
60- | 21 | 27 | 10 | 2 | - | 4 |
総計 | 81 | 156 | 66 | 5 | 2 | 15 |
所属 | 主要テーマ | 関連テーマ | 関心あり | 関心なし | その他 | NA | 総計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
国立大学 | 32 | 48 | 21 | 3 | 2 | 4 | 110 |
共同利用研 | - | 1 | 1 | - | - | - | 2 |
国立短大 | - | 1 | - | - | - | - | 1 |
国立高専 | 1 | 4 | - | 1 | - | - | 6 |
公立大学 | 5 | 14 | 5 | - | - | - | 24 |
公立短大 | 1 | - | - | - | - | - | 1 |
公立高専 | - | 1 | - | - | - | - | 1 |
私立大学 | 37 | 83 | 36 | 1 | - | 10 | 167 |
私立短大 | 6 | 4 | 3 | - | - | 1 | 14 |
総計 | 82 | 156 | 66 | 5 | 2 | 15 | 326 |
- | 主要テーマ | 関連テーマ | 関心あり | 関心なし | その他 | NA | 総計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
科学技術史 | 16 | 23 | 11 | 1 | - | 2 | 53 |
哲学 | 13 | 25 | 11 | 1 | - | 2 | 52 |
その他文学 | 7 | 22 | 5 | - | 1 | 1 | 36 |
法学 | 3 | 5 | 2 | 1 | - | 1 | 12 |
経済学 | 8 | 19 | 11 | 1 | - | 4 | 43 |
理学 | 2 | 5 | 5 | - | - | - | 12 |
工学 | 16 | 17 | 9 | - | - | - | 42 |
農学 | 3 | 1 | 1 | - | - | - | 5 |
医学保健 | 3 | 11 | 4 | - | - | 1 | 19 |
その他 | 11 | 28 | 7 | 1 | 1 | 4 | 52 |
総計 | 82 | 156 | 66 | 5 | 2 | 15 | 326 |
(3)講義の概況
今回の調査で収集された「科学技術と社会」に関連する講義424件の内訳は資料に示すとおりである。
文系の固有科目(一般教育科目であるか、専門科目であるかに関わらず、本来的に文系の個別領域の内容を扱う科目〕の中で扱うケースがかなり増加し、逆にそれ以外の分野の固有科目で扱うケースは減少している。また、環境・資源・エネルギー関連の科目、情報関連の科目が増加している。生命倫理等は減少ぎみである。情報関連の科目が増加しているのは、この2年間の情報環境の変化に対応したものだと推測される。
所属機関別に関し、国立大学と私立大学を比べると、私立大学の科目数が国立大学の倍近い。私立大学では、文系固有科目内で扱われるケース、情報関連科目が多い。
分類 | 2000年 | 1998年 | ||
---|---|---|---|---|
個別領域文系 | 82 | 19.3 | 55 | 13.2 |
個別領域理系 | 23 | 5.4 | 36 | 8.6 |
個別領域医学 | 4 | 0.9 | 12 | 2.9 |
個別領域教育 | 13 | 3.1 | 29 | 7.0 |
環境資源エネルギー | 47 | 11.1 | 28 | 6.7 |
情報 | 41 | 9.7 | 19 | 4.6 |
産業経済経営 | 21 | 5.0 | 22 | 53 |
医療保健 | 13 | 3.1 | 10 | 24 |
科学技術史 | 34 | 8.0 | 31 | 7.4 |
科学技術社会 | 42 | 9.9 | 42 | 10.1 |
科学技術論 | 26 | 6.1 | 28 | 6.7 |
研究開発 | 9 | 2.1 | 13 | 3.1 |
倫理 | 24 | 5.7 | 23 | 55 |
生命倫理 | 23 | 5.4 | 31 | 74 |
リスク安全 | 6 | 1.4 | ? | ? |
総合その他 | 16 | 3.8 | 38 | 91 |
総計 | 424 | - | 417 | - |
情報関連科目は、内容的には、情報処理の入門的科目、いわばリテラシー科目が多い。表13からわかるように、これらは必ずしも前回調査以降に開設されたものではない。これらのことから、前回以降に科学技術と社会に関連するような内容を扱うようになったために、調査で拾われることになったと解することが妥当であろう。インターネットの普及にともなって、単に操作技能を教えるだけではすまず、社会的側面についても取り上げるようになってきたことを反映している一方、科学技術社会論、研究開発管理ならびに倫理関係(生命倫理を含む)は国立大学で相対的に多い。国立大学で、科学技術と社会により直接的に関わる科目が多く、私立大学では関連科目が多いという傾向は、前述した回答者にとって「科学技術と社会」が主要な研究テーマか関連テーマかという問題と相関がある。両者を総合すると、国立大学では「科学技術と社会」それ自体を研究対象とし、また講義する余地が大きいのに対して、私立大学ではどちらかというと、それ以外の教育研究活動との関連で触れられる、といった傾向が見出せる。
開講年度別にみると、全体の4分の1弱が2000年度に開講されたばかりの科目であり、過去4年以内に開講された新しい科目が半数を占めている。カリキュラム改革が進めば、科目の体系も新しいものになることから、新しい科目が多いのは、当然の傾向である。
科目の分類別でみると、最近文系固有科目で扱うような科目が顕著に増えている。科学技術史は比較的古い科目が多い。一方、科学技術社会論、科学技術論、生命倫理は1995年、96年頃に開講された科目が比較的多数継続している。
また、前述のように倫理学、法学が相対的に減少しているが、その背景には、脳死問題、臓器移植法(1997年10月施行)が話題になっていた90年代前半から半ばにかけては、そうした社会的議論を反映して関連する講義が多数開講されていたという推測が成り立つ。すでに法律が成立し、社会的議論の焦点が論争的段階から現実の脳死移植へ、そして生命倫理を担保する制度の運用へと段階が進んだことに対応して、講義で触れるテーマとしての相対的重要性が低下したものと考えられる。
生命倫理関連科目の減少や前述の情報関連科目の増加といった変化は、「科学技術と社会」に関する講義の開設は、社会的イシューの変化を反映していると推測することができるし、ある意味では健全な傾向である。そうであるとすれば、「科学技術と社会」に関する教育は、比較的長期的に継続し、基礎論的また総論的性格のコア科目(科学技術論、科学技術社会論、科学技術史など)と、そのときどきの社会的イシューや教育上の必要に応じて開講される各論的科目の総体として提供されるのが望ましい。
と考えられる。
分類 | 国立大学 | 国立高専 | 公立大学 | 公立短大 | 公立高専 | 公立大学 | 私立短大 | 総計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
個別領域文系 | 12 | 3 | 9 | - | 2 | 51 | 5 | 82 |
個別領域理系 | 7 | 1 | - | - | - | 15 | - | 23 |
個別領域医学 | 3 | - | - | - | - | 1 | - | 4 |
個別領域教育 | 8 | - | - | - | - | 5 | - | 13 |
環境資源エネルギー | 14 | 1 | 5 | 1 | - | 26 | - | 47 |
情報 | 6 | 1 | 2 | - | - | 30 | 2 | 41 |
産業経済経営 | 8 | 1 | 1 | - | - | 11 | - | 21 |
医療保健 | 3 | - | 3 | - | - | 7 | - | 13 |
科学技術史 | 11 | 1 | 2 | - | - | 20 | - | 34 |
科学技術社会 | 15 | 1 | 3 | - | - | 22 | 1 | 42 |
科学技術論 | 9 | - | 3 | - | - | 13 | 1 | 26 |
研究開発 | 5 | - | 1 | - | - | 3 | - | 9 |
倫理 | 9 | - | 1 | - | 1 | 9 | 4 | 24 |
生命倫理 | 10 | - | - | - | - | 13 | - | 23 |
リスク安全 | 2 | - | 1 | - | - | 3 | - | 6 |
総合その他 | 5 | - | 1 | - | - | 10 | - | 16 |
総計 | 127 | 9 | 32 | 1 | 3 | 239 | 13 | 424 |
(4)自由回答
調査では、回答者自身について、科学技術と社会に関連する研究その他の活動を開始した経緯、関心のあるテーマを記述式で回答してもらった。また、科学技術と社会に関する研究の発表の場、関連する教育研究組織、学会等における関連する活動にはどのようなものがあるかを紹介してもらった。さらに、その他の意見として、「科学技術と社会」に関する教育研究活動の必要性1期待・阻害要因などについて自由に記述してもらった。これらの結果を項目別に整理した。
詳細については、個々の回答をみてもらうぺきであるが、ほぼ共通してみられる意見をまとめると以下のようになるであろう。
科学技術と社会に関する教育の重要性はますます高まっている。しかしながら、関連する教育研究に携わる者は分散しており、学会もないので相互交流情報交換が困難な状況にある。また、理工系分野の学会では、そのような課題に対する関心が、概して低い。しかも、文系、理系にまたがる研究者の参加が必要であるが、多数の専門分野の研究者が協力することは困難である。
このような状況を打破するためには、学会やネットワーク組織、情報収集のための中核的な拠点が必要であり、それらを実現することで「科学技術と社会」の可視性が高まり、専門分野、組織を越えた交流が一層促進されるだろう。そのような交流を通じて、日本固有のデータ、情報の蓄積をすすめる必要がある。そのために、大規模なプロジェクト研究を実施することも一考の余地がある。
ただし、問題の学際性、ダイナミックな性質を鑑みれば、組織が硬直化することを防ぐ工夫が必須である。
分類 | -1989 | 1990-94 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 不明 | 総計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
個別領域文系 | 8 | 6 | - | 4 | 5 | 9 | 12 | 27 | 11 | 82 |
個別領域理系 | 2 | 4 | 4 | - | 1 | 3 | 5 | 2 | 2 | 23 |
個別領域医学 | 1 | 0 | - | - | 1 | - | - | 1 | 1 | 4 |
個別領域教育 | 0 | 1 | - | - | - | - | - | 4 | 8 | 13 |
環境資源エネルギー | 1 | 4 | 2 | 5 | 7 | 7 | 3 | 14 | 4 | 47 |
情報 | 2 | 7 | - | 5 | 3 | 12 | 2 | 6 | 4 | 41 |
産業経済経営 | 0 | 2 | 2 | - | 3 | 6 | 4 | 4 | 21 | |
医療保健 | 0 | 1 | - | - | 3 | - | 2 | 3 | 4 | 13 |
科学技術史 | 3 | 7 | 1 | 2 | 1 | 6 | - | 5 | 9 | 34 |
科学技術社会 | 1 | 7 | 3 | 3 | 1 | 2 | 6 | 8 | 11 | 42 |
科学技術論 | 1 | 3 | 2 | 3 | 1 | 1 | 2 | 5 | 8 | 26 |
研究開発 | 1 | 1 | - | - | 1 | 2 | 2 | 2 | 0 | 9 |
倫理 | 0 | 3 | 2 | 1 | 1 | 5 | 4 | 5 | 3 | 24 |
生命倫理 | 0 | 4 | 2 | 4 | 2 | 3 | 2 | 5 | 1 | 23 |
リスク安全 | 2 | 0 | - | - | 1 | 1 | - | - | 2 | 6 |
総合その他 | 1 | 2 | - | - | - | 1 | 2 | 8 | 2 | 16 |
総計 | 23 | 52 | 18 | 28 | 30 | 52 | 48 | 99 | 74 | 424 |