注目集めるコンセンサス会議…農水省も開催
2000年9月29日
NPO 科学技術への市民参加を考える会 木場隆夫


 コンセンサス会議は、日本でこれまで試験的に二回行われてきた。現在、NPOとして活動している科学技術への市民参加を考える会の前身である「科学技術への市民参加」研究会が主催したものである。本ニュースにも紹介してきたが、1998年に「遺伝子治療」をテーマとして関西で行い、1999年に「高度情報社会――とくにインターネット」をテーマに埼玉県で行った。その資金源となったのはトヨタ財団、日産科学振興財団、東京電機大学の研究助成 であった。コンセンサス会議の広がりは世界的な趨勢であるとはいえ、日本での取り組みは、細々とした任意団体が行う研究的な位置づけのものであった。
 そして、99年末に、コンセンサス会議等を進めていくために本NPOが設立された。科学技術に関する問題についてコンセンサス会議やその他の市民参加の方法を世の中に広めていこうという方針から運動と研究を続けている。STSネットワークジャパンの方も数名加入されている。本NPOはさらに会員数の増加を目指しているので、御関心のある方はぜひ御加入を検討して下さい。ホームページはhttp://ccsimail.ccs.dendai.ac.jp/~wakamats/ でみることができます。
 さて、本NPOでは、7月15、16日に都内において合宿を行い、今後の活動方向について議論した。最近の本NPOの活動は、いろいろな地域や、団体でコンセンサス会議を行ってもらうためにわかりやすいガイドを作成するということに重きを置いている。このような活動が実を結び、コンセンサス会議の形式の会議を行おうという動きが実際に現れている。
 一つは、まちづくりにこの手法を応用しようということで、姫路市においてコミュニティコンセンサス会議が本年7月からスタートした。現在、会議に参加する専門家、市民の選定を行っており、今秋に会議を行い、来年3月に提言をまとめることを目指している。
 そして、農水省が遺伝子組換え農作物をテーマとしてコンセンサス会議を行うこととなった。農水省はこのコンセンサス会議の開催を、社団法人農林水産先端技術産業振興センターに委託している。7月にプレスリリースがあり、8月23日を締め切りとして全国から市民パネルを募集した。側聞するところ、市民パネル応募希望者は500人近かったということである。9月15日の第1回会合(東京都港区)を皮切りに、遺伝子組換え研究を行っているつくば地域の視察も含め、4回の会合が予定されている。このうち2回の会合は泊まり込みで行われる。最終的な意見のとりまとめは11月4日が予定されており、注目されるところである。現在、市民パネルにより「鍵となる質問」がとりまとめられた段階である。
 このコンセンサス会議が成功するのか、どのような議論がなされるのか、そして研究や政策にその意見はどのように影響するのか、といった興味をもってこの会議を外から眺めてみたい。



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