代表就任あいさつ

浅見 恵司
東京大学大学院修士課程

STS Network Japanが発足して今年で14年目を迎えます.

STS が科学・技術と社会の問題に取り組む研究・活動であるならば、昨今の社会状況はさらにこのような活動を必要としているといえるでしょう。新聞などを見ても、BSE 問題や自動車の技術的欠陥の問題といった私たちの生活に関わる問題から、科学上の新たな発見の話題に至るまで、科学・技術に関する話題は少なくありません。そういった事柄を私たちはどのように受け止め、あるいは対処していかなければならないのか、ということは学術的な課題としても、生活上の問題としても無視できないものとなっています。

STS Network Japan は、こうした科学・技術・社会に関わる問題について考えることを紐帯として、幅広い市民、学生、研究者のネットワークを創り出すことを目標に活動し、今年で15 年目を迎えます。その間、2001年には科学技術社会論学会が設立され、STS 研究の学術的な団体がSTSNJ の活動を一つの土台として生まれました。これによってSTSNJ の活動は変わるべきか、と言えば、変わる点もあれば変わらない点もある、のではないでしょうか。

学術団体としてのSTS 学会が設立されたことで、STSNJ は学術的な場を提供するという役割を弱めることができるでしょう。そしてより自由にフットワーク軽く、活動を行なっていくことができると考えています。昨年末からはじめた「定例会」は研究発表の場ではありますが、若手の発表をもとに自由な議論ができる場として今後も継続していく方針です。そして、結論や解決策を急ぐのでもなく、かと言って議論しただけでもなく何か新しい視点、切り口がある、というような創造的な活動を目指していく所存です。

一方で、STSNJ が掲げてきた「ネットワーク」という形態は今後も変わりなく継続していきます。現在の事務局は院生や若手研究者を中心にしたもので、若手の集まりのように見える面もあると思います。しかし、今後もより広範な人たちと様々なかたちで出会い、つながりを創っていきたいと考えています。また一方で、学部生世代が参加しやすいチャンネルを創ることも課題の一つであると考えています。

一年間でどれほどのことが達成できるか分かりませんが、会員のみなさまとともに微力ながら力を尽くし、STSNJ の活動を広げていくことができれば幸いです。至らない点も多々あると思いますが、今後ともよろしくお願いいたします。



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